犯罪トピックス

高額詐欺急増ご注意 1000万円前後 今月被害昨年の6倍 栃木県

カテゴリー:
特殊詐欺
都道府県:
栃木県

「栃木県内では今月に入り、1000万円前後の高額の特殊詐欺被害が続いている。息子や孫、市職員などを装ってだます相手を探る「アポ電」が、年内最後の年金支給日となる15日に合わせて増加すると予想され、栃木県警は注意を呼びかけている。(橋爪悦子、三枝未来)

 県内では、今月7日に大田原市の男性(81)宅に、息子を名乗る男から「かばんが盗まれた」などと電話があり、金を求められた男性が1400万円を手渡す被害があった。8日には芳賀町の女性(87)が孫をかたる男から同様の電話を受け、800万円をだまし取られた。

 県警生活安全企画課によると、県内では今月1~12日で6件、計約3100万円の詐欺被害が確認されている。詐欺グループにとっても、12月は最後の追い込みの時期とみられるが、今月は12日時点で、既に昨年12月の6倍近い被害額となっている。同課は「今月は1件の被害額が大きいのが特徴だ」と指摘する。

 年間を通して見ても今年は被害が増えている。同課のまとめでは、今年の11月末現在の特殊詐欺認知件数は145件で、前年同期比17件増。被害総額は2億4502万円に上る。目立つのは家族を装った「オレオレ詐欺」で、手口別では62件で最も多く、前年同期比22件増となっている。

 オレオレ詐欺は、2020年に県警が詐欺の受け子を複数摘発して以降、県内では一時下火になったが、今年は増加に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大により、家族で顔を合わせる機会が減少し、コミュニケーションの希薄化が進んだことも要因だという。

 15日の年金支給日には、受給者にまとまった金額が振り込まれる。同課は「年金支給日を狙ったアポ電が増えることを考えると、被害はさらに広がる可能性がある」と警戒する。

 県警は対策として、金融機関に詐欺防止の対応の強化を求めるほか、各家庭には「防犯機能付き電話機」の設置を推奨。未設置の人には留守番電話機能を活用し、録音を聞いてから出る方法も勧める。同課の担当者は「年末年始の帰省の機会に、家族しかわからない合言葉を決めたり、防犯機能付き電話の設置について話し合ったりしてほしい。金銭を要求されたら電話を一度切るなど一呼吸おき、慌てずに詐欺を疑って」と注意を促した。

 

記事の絞り込み

TOP