みんなで守ろう!地域の安全
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良好な治安の確保は、国家の基盤である。この基盤が今やおかしくなっている。
昭和期の治安は、年間の刑法犯が120万~160万件、全刑法犯検挙率は60~65%と世界最高の治安水準であった。昭和54年にハーバード大教授エズラ・ヴォーゲル氏は、著書「ジャパンアズナンバーワン」の中で、日本の防犯取り締まりは「警察官のプロ意識」「世間の協力」において世界最高の治安であると称賛した。
しかし、最近における多くの残虐な事件、家庭内殺人や通り魔犯罪などの頻発は、体感治安の上で大きな問題をはらんでいるし、犯罪の検挙率も31.7%(平成19年)にとどまり、昭和末期における60%台には到底とどいていない。
この治安回復のためには、古来、「検挙に勝る防犯なし」といわれてきたように、警察による犯人検挙が最も重要であることは疑いがない。この「検挙人員」を増やすために、警察が知恵を絞って具体的対策を講じ、汗をかくことがこれまで以上に求められている。
しかし、一人警察だけの努力では限界がある。これまでにも増して一般市民の協力を得る必要がある。そして、そのためには、放送・通信メディアの一層の活用が必要である。
事件や事故の発生は、各種メディアを通じてニュースとして伝えられるが、身近に不安を感じる市民に役立つ情報提供という視点では必ずしも十分ではない。また、警察が行う事件・事故の捜査にも、放送・通信メディアの力を活用して一般市民に情報提供を求める余地は十分にある。
近年、パソコンやインターネットの普及率には目を見張るものがあり、2人以上の世帯を対象とした内閣府のパソコン普及率調査によると、73.1%と過去最高となっている。そして、ブロードバンドの普及により、国民の平均利用時間も長くなり続けている。
更に携帯電話についても、子供から高齢者に至るまで広く国民に普及し、業務用はもちろんのこと生活必需品として多様に有効利用されている。
テレビチャンネルもしかりである。地上波テレビのデジタル化、衛星テレビチャンネルやCATVの普及、ブロードバンドインターネットを利用したテレビチャンネルの普及など、チャンネルの増加に番組が追いついていないと思われる現状にある。
こうした各種メディアの普及発展を背景として、POLICEチャンネルは、市民の立場から治安の確保に貢献することを目的に、様々なメディアを活用して、市民の防犯意識や規範意識の高揚に資する映像コンテンツ、青少年の非行防止と健全育成に資する映像コンテンツ、未解決事件の捜査に資する情報提供を一般市民に訴える映像コンテンツ等を広く国民に提供する活動を推進している。
そして、現在、この活動資金は年間2千万円程度であり、会員の会費とホームページやビデオ作成請負事業で得た収益で確保している。少ない給与で献身的に努力してくれているスタッフには本当に頭の下がる思いである。
時々、POLICEチャンネルの活動は、本来、警察の広報部門がやるべきことではないかと質問される。その通りだと思う。しかし、攻めの広報センスと技術を有する人材の配置がなければ無理である。
このことは、現状の官庁のホームページを見れば一目瞭然である。情報を掲載しただけで、多くの人に知ってもらおうという意欲の感じられないホームページがいかに多いことか。知らせたつもりでも、ほとんど知られていないのが現状である。
私どものホームページ「ポリスチャンネル」へのアクセスも、1日の訪問者が5千超、ページビューが4万超、動画視聴数が8千超になったとは言え、まだまだその存在を知らない人が多い。
不祥事や事故は多くのマスコミで報道され直ちに知られるところとなる。しかし、汗を流して懸命に取り組んでいるボランティアの姿、犯罪や事故防止に役立つ情報を知ってもらうことは容易ではない。
こうした中、全国読売防犯協力会におかれても、ホームページ「ぼうはん日本」を開設し、工夫を凝らして国民の安全・安心に係る各種情報を発信されていることに心から敬意を表するしだいである。
私どもPOLICEチャンネルも、「お茶の間で子供からお年よりまでが見られる安全・安心専門チャンネル」の実現を目標に、引き続き知恵を絞って「知ってもらうことの難しさ」に挑戦しつつ、市民の立場から治安の確保に貢献してまいる所存である。