みんなで守ろう!地域の安全
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【長野原警察署】
【草津町交番】
――やって来ました! 名泉「草津温泉」へ!!
私たち取材班は、群馬県長野原警察署を訪問の後、草津町交番の取材に向かい、JR吾妻線長野原草津口駅から「ジェイアールバス」【写真右】の運行する路線バスに30分ほど乗り、現地入りしました。
〈草津節(湯もみ唄)〉
♪ ~ 草津よいとこ いちどはおいで
(ア ドッコイショ )
お湯の中にも (コーリャ )
花が咲くヨ (チョイナ チョイナ) ~ ♪
目的の停留所でバスを下りた瞬間、硫黄の臭いに鼻が刺激され、改めて「温泉地に来たんだな」という気持ちになりました。
草津温泉の湯は高温であるため、木の板を使いお湯をかきまぜ、適温まで下げる作業を行います。これを「湯もみ」といい、そのときに歌われる「湯もみ唄」の一つに「草津節」があります。
草津温泉の自然湧出量は毎分32,300ℓと日本一で、ドラム缶本数に換算すると、1日約23万本分にもなるそうです。
――草津町の概況
草津町は兵庫県の有馬、岐阜県の下呂温泉と並ぶ日本三名泉と言われ、旅館が約120軒、ペンションが約30軒あり、訪れる年間の観光客は、全国各地から外国人観光客を含め、約280万人が訪れるということです。【写真(右)は草津温泉湯畑】
場所は群馬県の北西部に位置し、南は長野原町、西は嬬恋村、北西の一部は長野県上高井郡高山村と接しています。人口は6,686人、世帯数3,355世帯(平成27年3月1日現在)だそうです。標高1,130mから1,260mの高地にあり、年間を通じ温泉・スポーツ・避暑などでにぎわいます。
――草津町交番を訪ねる
草津町交番は標高1,175mの高台に位置し、同町の中心街にあります。取材班が交番を訪ねると、若いおまわりさんが「敬礼」をして、交番内に招き入れてくれました。
取材に応じてくれたのは、同交番所長の山賀警部補他2人の警察官です。交番の勤務員は所長以下7名で、1個班2名の3交代勤務です。管轄区域は草津町全域49,74k㎡になるということです。
【写真は交番に立番中のおまわりさん】
――温泉地特有の犯罪について
草津には、町で管理している共同温泉施設が20施設あります。
利用者は主に地元の方々だそうで、入浴料は要りません。ただし、施設が無人であるため、入浴者の現金や貴重品を狙った窃盗事件の発生数が多くなります。これは温泉地特有の犯罪で、温泉等の脱衣場を狙った「脱衣場荒らし」などが昨年1年間で16件の発生があり、刑法犯認知の20%を占めています。
――犯罪を減らせっ! ⇒ 知恵を絞る
何とか「脱衣場荒らし」の被害を防げないものかと知恵を絞り、長野原警察署と西吾妻地区防犯協会は貴重品を入れるビニール袋2,000枚を用意して共同温泉施設に配布しました。【写真右】
犯罪が減らないのは貴重品を脱衣場に置きっ放しにすることにあると分析し、ビニール袋を製作することにしたそうです。
使い方は、貴重品をビニール袋の中に入れて浴室に持ち込み、自分の目の届くところに置いておくのだそうです。ビニール袋の配布で、被害は減少したとのことです。
――冬場の交通事情について
草津町は高所にあることから、町内道路のアップダウンが激しいそうです。
幹線通りでは、温泉を利用したロードヒーティングの配管が埋められているため、積雪はほとんどありません。しかし、裏通りではスタック事故(雪で車が動かなくなる)が時々発生します。原因は道路事情を良く知らない観光客がノーマルタイヤの車で当地を訪れることにあります。
――観光地の交番として重責を担う
「国内・国外、老若男女を問うことなく、多くの観光客が当地にやって来るので、草津町に働きかけ、要所に『防犯カメラ』や『青色パトロール灯』を設置し、防犯力のアップを図った」と、山賀所長は話しました。
また、「草津町の地域には警察署がありません。つまり、町内には草津町交番しかないということになります。したがって、町の人は“草津町警察署”という感覚で見ているため、その責任は重いと考え、勤務しています。これからも草津町の方々とともに防犯活動を積極的に推進し、犯罪のない街づくりに尽力したい」と、同所長は続けて力強く話してくれました。
――後輩へのことば
「地域の人たちが警察に何を求めているかを知ることがとても重要だと思います。平素の勤務時における地域住民との対話が鍵です。人の気持ちを察し、決して一人よがりにならないことを肝に銘じてほしいと思います。そして、優しい気持ちを持った警察官になることを目指して欲しいですね」。
山賀所長のことばは、ご自身が「心優しいおまわりさん」を肝に命じているのだと感じました。「後輩へのことば」に、その暖かさがこもっているように感じました。この町にも、春の足音が聞こえ始めました。
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