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成功事例21
東京都玉川田園調布

防犯パトロール活動

玉川田園調布防犯パトロール隊   代表 前田浩雅
 防犯エンジニアリング 第1編

1.防犯パトロール活動 

1.1活動の方法をご紹介する前に、活動の成果をご覧に入れます。
(A)玉川田園調布の空き巣発生件数(2002年4月から2010年3月まで1年単位)

(B)隣接する三つのまちの空き巣発生件数(2004年4月から2009年7月まで3か月単位)

(C)玉川警察署管内の空き巣発生件数(2002年4月から2009年12月まで3か月単位)

(D)世田谷区全体の空き巣発生件数(2002年4月から2009年12月まで3か月単位)

[グラフの解説]
  1. グラフの横軸は3か月単位で、2004年度から活動を開始しました。
  2. 2004年度には玉川田園調布の空き巣は激減しましたが、同じ年度に周辺地域で空き巣被害が続いています。(2003年度のデータはありません) 周辺地域は面積比では玉川田園調布の1.7倍ですが、発生件数ではそれ以上です。
  3. 地域活動はすぐに効果が表れますが、公的機関では準備の関係から、効果が出るまでには時間がかかります。 また、玉川警察署管内と世田谷区全体では2009年後半から空き巣は再度増加傾向にあります。
(E)パトロール隊員数の推移

(F)パトロール数の推移

1.2次に防犯パトロール活動の方法をご紹介します。
(A)まちの特徴
地域防犯活動を行うには、対象とする犯罪だけでなく地域の特性にマッチした活動を行うことが活動を継続させる秘訣です。
玉川田園調布は世田谷区・大田区・目黒区の接点にある小さなまちで面積0.3km2・人口2,142人・所帯数989(2010年4月1日現在)。商店街・鎮守様・お稲荷様・お地蔵さんのどれもない、そしてお祭り好きや世話役になる人がいないことが大きな特徴です。
(B)エニジニアリングの手法を導入
そのようなまちで活動を充実させるために、前田代表が現役時代に従事したエンジニアリングの手法を導入しました。
エンジニアリングとは「ある目的を達成するために、利用可能なリソースを有効に組み合わせて最大限の成果を得る行為」であります。
ここで言う目的とは「犯罪抑止力の強化」であり、利用可能なリソースの最大のものは「住民」であります。
ところが、肝心のリソースである住民の特徴は「お祭り好きや世話役になる人がいない」ことです。
(C)蜘蛛の巣のゆらぎ戦法
ほとんどの地域の活動は隊列を組んで、揃いのユニフォームに身を固めて行っています。
しかしこのような方法は私たちの住むまちの住民感情にはマッチしません。
そこで、まちと住民の特性を考慮しながら活動を効果的かつ永続的に行うための工夫を考え出しました。
まず、対象犯罪やパトロール方法を最初から限定することはせず、隊員が懸念する犯罪に対し、各自が実行しやすい方法でパトロールをすることです。
別の表現をするなら、30センチメッシュの金網を強固に張り巡らすよりも、1メートルメッシュの蜘蛛の巣がゆらゆらと揺れているほうが犯罪者は嫌がるだろうと考えた訳です。
そして継続性と多くの住民参加を実現するためには無理な負担がかからないことが重要なので、「犬の散歩を兼ねて」「ウオ―キングを兼ねて」「買い物のついでに」「通勤途上で」など各自好きな方法で行うことにしており、時間的には1回30分位が負担を感じない限界と考えました。
この方法を「蜘蛛の巣のゆらぎ戦法」と名付けて下さったのは日本市民安全学会の石附弘会長で、2007年9月にはNHKの「難問解決ご近所の底力」で紹介されました。

(D)定数管理と定性管理
活動を長続きさせるもう一つのポイントは活動の結果と成果を目に見える形でまとめて、迅速に共有化することです。
冒頭に記載したグラフが活動の成果であり、ここでは活動の結果をまとめる方法をご紹介します。
データ処理方法の概要は次の通りです。
(ア)町内を30分位で回れるように五つのゾーンに分けました。

(イ)記入に手間がかからない簡単な記録用紙を設計しパトロール数を数えています。
  • 記録用紙はカレンダー形式で、1日が六つの時間帯に分かれています。
  • データの内容は年・月・日、曜日、パトロールしたゾーン・時間帯・回数その他です。
  • 集計結果は表形式で各ゾーン毎の曜日・時間帯別のパトロール数・傾向が一目でわかるようになっていますが、犯罪者の手に入らないように公開はしません。
  • 配布は隊員限定で、隊員は手薄なゾーンのパトロールを自発的に強化しています。
(ウ)集計結果の一部を見やすいようにグラフ化した資料を作っています。
  • この資料には所轄の玉川警察署から入手した空き巣とひったくりの発生件数のグラフも含めています。
  • また、データには町内だけでなく周辺地域の情報も加え、前年同月の数値と対比できるように13か月分を記載しています。
  • (ウ-1)ゾーン毎のパトロール数(2008年1月~2009年1月)

  • (ウ-2)空き巣発生件数(隣接地域を含め2008年1月~2009年1月(ひったくりは省略)

(E)次に情報の迅速な共有化を行っています
(ア)毎月第2土曜日に防犯月例会議を開催し、議事録や上記(D)等の資料を1週間以内に全隊員にメールや手配りで配布しています。
(イ)2005年5月からは、上記(D)に記載してある空き巣とひったくりの発生状況をA3サイズ・ラミネート処理したポスターにして町内14か所の掲示板に掲出しています。

(ウ)スライドショーの作成
  • 上記(イ)の作成・掲出を続けていると、空き巣は連続して近くで発生することがわかってきました。
  • そこで、空き巣だけを取り上げ、発生場所に前月発生は黄色、当月発生は赤色のマークを付けた50枚を超えるスライドショーを作成しました。

  • 【空巣発生状況のスライドショー】
(F)予知防犯の実施
上記(E)のスライドショーから読み取った情報により2009年の半ばから犯罪を予知して防犯活動を強化する予知防犯を開始しました。同年の年末年始には第4ゾーン(青色で示した町内の中央上の左側部分)の防御を強化し、その後も予知防犯を続けています。
(G)青色パトロールカー
2008年2月からは自家用車を利用しての青パトも走り始めました。

以上述べてきたことが、私たちの活動の結果と成果ですが、そのポイントは次の通りです。
  1. まちの特性に合わせたオリジナリティーのある方法を編み出したこと。
  2. 無理をせずに、誰でも参加出来る方法で、継続は力なりを実践していること。
  3. 活動の結果と成果を目に見える形にして、迅速に共有化していること。
  4. データは周辺情報も含め、継続して取得していること。
  5. 取得・分析した情報から「予知防犯」のように新たな取り組みを開始したこと。

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