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ぼうはん日本

全国読売防犯協力会
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守 ・ 破 ・ 離

2011年09月
読売防犯協力会 参与 髙嶋光生

人生には、学ぶべき言葉が、いくつかあります。私は福岡県警という組織に37年間在籍していて、これは「いい言葉だな」というものがいくつかありました。その中の一つが、「守・破・離」です。警察といえば、柔道と剣道等が必須科目ですが、剣道の指導者の中には、この言葉を大切にしている人がいます。

剣の道を究めるには、まず、師の教えを学び、忠実に守ること。これを「守」という。それができるようになれば、他の教えにも視野を広げ、他のよいところは取り入れていく。己の守ってきた技を破って、さらに心と技を磨いていく。これを、「破」という。さらに修行を重ねていくうちに独自の技を生み出していく。これを、「離」という。このことは、剣の道に限らす、相撲、スポーツ、建築、医療、芸術、芸能、絵画、文学、宗教など、人間が努力という道によって究めていくものには、そのような段階があるのではないかと思います。

私は、読売新聞というマスコミ社会に籍を置き2年半が経ち、新聞を作成する仕事にも携わる機会もあります。今までは知ることがなかった取材、編集、編成等の工程の一部をみることができます。そして、現在携わっている防犯・交通での地域貢献という仕事について、警察の経験を生かしながら、「少しでも地域に役立っているのならうれしい」と思うようになりました。と同時に、ボランティアで子どもの見守り活動(8.3運動)に従事している人と知り合いになる機会が多くなりました。そんな中で、二人の方の善意の行動に共感したので、ここで紹介させていただきます。

一人目は、「ハイタッチおじさん」で、福岡市南区の69歳のT男さんです。平成15年に発生した小学4年男子に対する灯油放火事件後、通学児童の見守り活動をしています。最初のころは、児童に対する「おはよう」の声かけだったそうですが、顔や名前を覚え、名前を呼んであいさつをするようになると親近感がわき、次第に「ハイタッチ」が出るようになったということです。天気がいい日は、バイクで通学路を回り、雨の日は軽自動車で回る。子どもが通学する日は毎日約1時間のパトロールは欠かせません。毎日、子どもと接触していると子どもの顔を見ただけで、子どもがどんな心理状態かが分かるそうです。そんな時には、「元気を出して」と励ましの一声をかけるそうです。

二人目は、「ジャンケンおばさん」で、福岡県小郡市横隈の30歳代後半のO女さんです。子どもの通学路に17メートル道路(通称「七夕通り」という)があります。幅17メートルあるからそのように言われているのだろうと思います。このO女は、道路の反対側の歩道を通学する児童に声をかけ、車道を隔てて児童とジャンケンをしています。ジャンケンをすることによって児童とのコミュニケーションをとっています。自分の自宅に近い歩道は、田んぼや畑が多く児童が少ないため、住宅街の多い反対側の児童に声をかけています。たわいもないジャンケンでも子どもは楽しそうにやっています。「名前はドビンの取っ手」といわれます。名前を覚え、名前を呼んで、親近感をより深めているように思います。ほほえましい朝の光景です。行き交う人の心も和みます。

以上のお二人が、「守・破・離」という言葉を知っておられるかどうかはわかりませんが、「守」の段階では、ただ声をかける。「離」の段階で、他の人のやり方を見習う。そのような段階を得て、自分流の子どもの見守り活動である「ハイタッチ」や「ジャンケン」となり、それぞれが「離」の域に達しておられるのではないかと思います。そして、未来を生きる子どもたちの成長をそっと見守っておられるようです。

特に今年は、「3.11東日本大震災」という未曾有の出来事があり、被災地は必死に立ち上がろうとしています。多くの人が、被災地に向けて物心両面の支援を送っています。被災地を支援している人の中にも「離」の域に達している人がおられるように思います。そんな人が一人でも多く出ることを願っています。

※(8.3)運動とは、おやじ日本が提唱する、午前8時と午後3時に通学路に出て子供たちの見守りを行う運動のことです。

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