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北アルプス・コスモス街道の駐在さん

2015年12月取材

高山警察署

 

岐阜県高山市は「飛騨の小京都」と呼ばれ、江戸時代にタイムスリップしたかのような美しい街並みが保存されており、日本人観光客だけでなく海外からの観光客も訪れるそうです。なかでも、春と秋の高山祭りは京都の祇園祭、埼玉の秩父夜祭りと並ぶ日本三代曳山祭りの一つとして約400年の歴史を有する重要無形民族文化財に指定されています。
現在の高山市は平成の大合併により日本一大きな市となりました。管内には飛騨山脈やユネスコ世界文化遺産の白川郷などの観光地やスキー場9箇所もあります。今回私たちは、平成の大合併により大野郡丹生川村から高山市丹生川町になった高山警察署丹生川駐在所を訪ねました。

 

 

【概況】

高山警察署は、日本で4番目に広い区域を管轄する警察署(上位3箇所は北海道)です。

高山市丹生川(にゅうかわ)町は2005年2月1日に同市に編入され、村から町になりました。丹生川町は岐阜県の北東部、乗鞍岳の麓に位置します。なお、長野県境にある乗鞍岳は、3,000メートル級の山々が連なる活火山帯だそうです。

 

 丹生川駐在所

【丹生川駐在所を訪ねる】〈写真参照〉

佐々木拓磨巡査部長(35)が私たちの到着を、駐在所の前で待ってくれていました。名刺交換をしたあと、私たちは乗鞍の雄大な風景について感想を述べました。また、当地まで来る路線バスの時間が合わなかったことなどを会話し、淹れてもらった温かいお茶を一口いただきました。

佐々木巡査部長は、神奈川県川崎市の出身だそうです。丹生川駐在所には着任して3年6ヶ月。大学時代には山岳部で心身を鍛えたそうです。

 

【取材班】まず初めにお聞きします。警察官になられた動機をお教えください。 【佐々木巡査部長(以降、巡査部長)】山岳救助隊のある警察署の警察官になりたいと考えました。私は山が好きで大学時代は山岳部に籍を置きました。私と同じように「山好きな人間」が遭難死することは忍び難く、1人でも多くの遭難者を救助したいと考えたのです。

【取材班】丹生川駐在所の管轄エリアをお教えください。

【巡査部長】地図を見てもらったように、丹生川町は高山市の東になります。当駐在所は行政区と同じ丹生川町全域をカバーしています。長野県境の乗鞍岳も一部管轄しています。面積で言うと、約228平方キロメートルになります。

【取材班】余りに数字が大きくて、私たちには想像もつきません。そんな広い場所に、どれくらいの人が暮らしているのですか?

【巡査部長】現在(2015年12月11日)、世帯数は約1,100世帯、人口は約4,600人程度になります。

【取材班】この町の特色をお教えいただけますでしょうか?

【巡査部長】トマトやほうれん草の生産地として有名です。宿儺かぼちゃ(すぐなかぼちゃ)という特産品もあります。

静寂の中、ときどき駐在所の前をクルマが通ります。まるで音を発てるのが悪いかのようにクルマが走る――。なんか不思議な感覚に捉われます。

【取材班】とても静かな町で、事件など起こらないような気がしますが、事件や事故の発生状況についてお教えください。

【巡査部長】はい。刑法犯認知件数ですが平成26年は11件です。手口別では自転車盗、さい銭盗、器物損壊、暴行等です。交通事故は物損事故も含めて182件発生しました。特に12月、1月の発生が全体の約4割を占めています。雪道でのスリップが原因の事故です。

【取材班】さて、駐在さんはどのような役割を担うのでしょうか?

【巡査部長】常日頃から、駐在は町の「防犯灯」だと、私は考えています。平たく申し上げれば、「町の住民が困っていることに親身になって相談に乗る。そして、その解決のお手伝いをし、要望を叶える」ことが「防犯灯」の役割だと考えています。これからも全力で取り組みたいと思います。

【取材班】ここにお邪魔する前に、高山警察署を訪問したのですが、その際、佐々木巡査部長が山岳救助隊員としてご活躍されていると伺いました。3,000メートル超の高い山だけに、その救助は困難を極めるものと思います。勤務におけるおはなしなどお訊きしたいのですが――〈登山道具:写真参照〉

【巡査部長】私は山岳警備隊も兼務しており、高山署、飛騨署、下呂署の3署で構成する岐阜県警山岳警備隊飛騨方面隊に所属しています。大規模遭難事故の際は方面警備隊として出動します。自署管内での遭難事故の際には、私が一人で出動することもあります。この1年間で方面山岳警備隊として50回ほど出動しました。

【取材班】「ご来光」を見ようという登山者の警備にも出かけられるわけですね。

【巡査部長】はい。年始を山で迎える登山者の警戒にも従事しています。

 

記憶に新しい出来事として、昨年(平成26年)9月に御嶽山が噴火しました。佐々木巡査部長はその日、岐阜県側登山口まで臨場し、下山してきた登山者の誘導にあたったほか、2日目には方面警備隊として御嶽山の〈五の池山小屋〉まで、避難者の救助活動のため山に登りました。今年(平成27年)の7月末から8月初旬にかけての再捜索にも出動し、遭難者1人を発見したそうです。

 

【取材班】佐々木巡査部長にお訊きします。警察官としての目標をお教えください。 【巡査部長】目下の目標は、駐在所員として、住民の方々からさらに確固たる信頼を得るべく勤務に精励することです。それが、警察全体の信頼度アップにつながると思うからです。 山岳救助隊員としての目標は、自らの技能レベルを今よりアップさせることです。同時に、山岳救助の技術を後輩らに指導し、救助隊員の層を厚くしたいと考えています。

 

佐々木巡査部長の強い決意を耳にした私たちは、丹生川駐在所を後にしました。この日は今年一番の厳しい冷え込みとなり、周囲に見えるはずの北アルプス連峰もその姿を雲の中に隠してしまいました。私は一瞬、同行者がタバコを吸っているのかと思いました。それほどに、吐く息の白さが際立つ冬の日の取材になりました。  私は無意識のうちにマフラーを巻きなおしていました。頬を刺す冷たい風が、私の側を何度も通り過ぎました。

 

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