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豊川稲荷を守る交番

2015年11月取材

豊川市は平成の大合併で面積が広くなりましたが、市の中心は公共・商業施設のある「諏訪地区」、豊川稲荷から発展した門前町の「豊川地区」、両地区をつなぐ「中央通地区」の三つが、市の中心になるといいます。豊川市内からは、冬晴れの日には富士山も見えるそうです。 さて、取材班は11月8日(日)に豊川市の主催する防犯セミナーに出席。翌9日(月)、豊川稲荷にお参りしました。訪れる前は、「稲荷」だから神社だと思っていたのですが、不勉強でした。豊川稲荷は、曹洞宗の寺院(円福山 豊川閣 妙厳寺(みょうごんじ))なのだそうです。

このお寺でお祀りしている鎮守(豊川吒枳尼天・とよかわだきにしんてん)が、稲穂を荷い(にない)、白い狐に跨(またが)っていることから、通称名が「豐川稲荷」となったようです。日本三大稲荷の一つに数えられ、約120万人もの初詣参拝者に溢れます。参道には土産店も多くあり、三河一色産の「うなぎ」の香ばしい匂いが漂っていました。今回は、愛知県警豊川警察署の紹介で豊川稲荷の前にある交番を訪ねました。

 

■この交番の正式名称をお教えください。

稲荷通交番といいます。

私たちの取材に応じていただいたのは、内田浩之警部補(55)です。豊川署に赴任して2年半が経過し、この9月15日から稲荷通交番に着任されたとのことです。豊川署の前は設楽警察署に勤務されていたそうです。

■交番の勤務体制を教えてください。

3部制(3人)となっており、勤務は午前9時から翌日の午前9時までの24時間勤務となります。私の他の勤務者は20歳代の若い警察官です(女性警察官1人を含む)。

■内田警部補の出身地は地元ですか?

いえ、私は隣の静岡県の出身です。浜松市内に自宅があり、JR東海道本線で通勤しています。

■てっきり、愛知県出身だとばかり思っていました。警察官を志望された動機をお聞かせください。何がきっかけだったのでしょう?

実は私の叔父も警察官で、しかも愛知県警に勤務しておりました。私の気持ちを大きく動かしたのは、三菱銀行人質事件(1979年(昭和54年)1月26日、三菱銀行北畠支店に猟銃を持った男が押し入った)です。かねてから「人の役に立てる仕事をしたい」との気持ちを持っていました。当時高校生だった私は、この事件をきっかけに警察官になるとの気持ちがさらに強くなりました。

■私たちの記憶にも残る大きな事件でしたね。「人の役に立ちたい」――。私など、当時はギターを持ってシンガーソングライターを気取り、「女の子にもてたい」とばかり考えていたことを思えば、とても恥ずかしい気持ちになってきます(笑)。 さて、初詣時の参拝客数は1日30万人にも上るといいますが、とても3人では対応できないでしょうから、どうされているのですか?

正月の警備は、豊川警察署員が総出で担当していますが、三が日は、近隣署の応援を頂いて対応しております。これまで大きな事故もなく、迷子をこの交番で預かるのが主な仕事になります。迷子は1日5人~10人程度といったところでしょうか。参拝時は、参道が一方通行になるので混乱もなく安全です。実はこの交番は豊川稲荷の敷地をお借りしているのですよ。

■そうですか。歴史ある交番なんですね。

昭和13年9月に設置されていますので、77年もの間、この場所に稲荷通交番(当時の名称~豊川閣巡査派出所)がある、ということになります。いま、この交番がカバーする世帯は1万1千世帯を超え、3万人弱の居住者がいらっしゃいます。

■犯罪被害の傾向に特徴はありますか?

JR豊川駅、名鉄豊川稲荷駅が近くにあるので、自転車窃盗が多いことが挙げられるのではないかと思います。また、豊川警察署として捉えれば、東名高速道路や国道1号線、国道23号線という愛知県の幹線道路が3本とも豊川市内を通っており、交通事故が一度起これば大事故になる場合もあります。特徴といえば、これらが特徴になるのかもしれません。

 

内田警部補は、人懐っこい丸い笑顔で私たちを見送ってくれました。私たちの「豊川の名物は?」との問いかけに「いなり寿司はB1グランプリに出展しましたよ。でも、日持ちするものの方が良いですよね。宝珠(ほうじゅ)まんじゅうは如何でしょう」と答えてくれました。JR豊川駅に向かう途中、土産店の女性がお茶を勧めてくれ、試食用のまんじゅうを口に放り込みました。控えめな甘さと、お茶を飲んだ後の口内に広がるすっきり感が、さらにこのまんじゅうの旨みを引き立てました。私たちは会社への土産に――と、さっそく購入しました。

前日の雨がウソのように晴れ上がった空に、取材に応じてくれた内田警部補の顔が浮かびました。「『宝珠まんじゅう』のようなやさしい人でしたね」。私はいっしょに交番を訪ねた同僚に、そう話しかけていました。



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