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ぼうはん日本

全国読売防犯協力会
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多摩源流の村の駐在所

2015年03月取材

小菅駐在所は東京都に隣接する山梨県北都留郡小菅村にあり、国道139号線から大菩薩峠へと延びる県道508号線沿いに位置しています。
今回、全国読売防犯協力会取材チームは、山梨県警上野原警察署のご紹介を得て、小菅駐在所を訪ねました。

【上野原警察署】

【小菅駐在所】


【概況】

私たちはJR青梅線奥多摩駅から西東京バス会社の路線バスに乗り、約1時間揺られ現地入りしました。 小菅村は路線バスが奥多摩駅との間に結ばれていること、電話の市外局番も〈0428〉と青梅市と同じ番号であることから、東京とは非常に近しい関係にあるものと思われます。ちなみに小菅駐在所の隣接地に、東京都水道局水源管理事務所小菅出張所があります。都民への水の安定供給のため、水源森林の管理をしているとのことです。


【小菅駐在所を訪ねる】

小菅駐在所に勤務している下山道昭巡査部長(39歳)は、着任してから8年の歳月が経ったそうです。

 

■小菅村について

――小菅駐在所の管轄エリアをお教えください。

地図をご覧いただければ一目瞭然ですが、行政区と同じ小菅村全域をカバーしています

――小菅村の人口はどれくらいですか?

いま現在(2015年3月4日取材)、世帯数は332世帯、人口は720人程度というところでしょうか。

――下山巡査部長が感じておられる小菅村の特色をお教えいただけますでしょうか?

妻が出かけていて、私と子どもしかいないというような時でも出動しなければならないこともあります。そんなとき、駐在所を子ども1人で留守番していることに気付いたご近所の方が、私が戻るまで子どもの面倒を見てくれるなど、とても人の温かさや優しさを感じるところです。ときどき「作った料理を食べて」と、差し入れなんかもあるんですよ(笑)。

――読売新聞の販売店でもそうしたエピソードをよく聞きます。地域にしっかり溶け込んでいるからこその「差し入れ」ですね。ところで、私たちがこの村の停留所に着いて宿泊所に向かうときや、今日、駐在所まで歩いて伺う途中で、村民の方々に明るく挨拶をいただくなど、昔のよき日本の姿を残していると私たちは感じました。

そうですね。村民の皆さんの間に知らない人にもあいさつするという習慣があるようです。一方で、自分の村は自分で守るという意識も高いと思われます。住民以外の人がやってくると、「知らない人が歩いているよ」なんて連絡が駐在所に入ることもあるんですよ。

――事件や事故の発生状況、お仕事についてお教えください。

この数年、刑法犯認知件数はゼロという状況です。交通事故は物件事故も含めて年平均で約15件程度です。私の大切な仕事は、村民が犯罪被害に遭わないように防犯啓発をすることやパトロール等を行い、安全で安心なまちづくりを進めていくことと考えています。


【内助の功】

――下山巡査部長も最初は「知らない人」だったわけで、一村民として小菅村で暮らし、そして「駐在さん」として村民の方の信頼を築くことには相当なご苦労があったのでは?

そうですね。実は私の妻は田舎暮らしに慣れていなかったので、当初は「どこに買い物に行けばいいんだ」とか、「子どもの衣料品などはどこに売ってるんだ」とか、非常に不便を感じたようです。でも、持って生まれた明るい性格が奏功し、いつの間にか村民ネットワークの中に入っていました(笑)。

【写真は山下巡査部長と奥様】

――本署の上野原署の秋山署長からお聞きしたのですが、下山劇団で大活躍だとか(笑)。

着任してから2年くらい経った頃でしょうか。敬老会で「振り込め詐欺対策」の指導を役場の方から依頼されました。どうすれば、参加者の方々にわかりやすく伝えられるのかを考えました。そこで思いついたのが、家族で劇を演じることでした。私が脚本作りと犯人役、妻が騙されそうになる高齢者役、息子はその高齢者を助ける正義の味方というような劇に仕立てました。これが大いに受けたんです。妻や子どもの協力なしに村民の方々との信頼関係の構築はできなかったものと、常々感謝しています。


【駐在さんとは】

――「村の駐在さん」として、親しまれている一面をお教えいただき有難うございました。さて、「駐在さん」の役割とは――?

私は常日頃から、駐在は「警察と住民をつなぐパイプ役」と考えています。「村民の困っていることを解決し、要望を叶える」ことに、これからも全力で取り組みたいと思います。


【山岳救助隊員として】

遭難事故でも活躍されていると、本署でお聞きしましたが。

学生時代に探検部に所属。主に洞窟探検活動に力を入れました。趣味でロッククライミングもしています。小菅村では、年間3件くらい沢登り、渓流釣りでの滑落事故が起きています。山の遭難については、雲取山(標高2,017m)で1年に5~6件あり、上野原警察署山岳救助隊を編成して救助に向かいます。また、最近では警視庁、埼玉県警、山梨県警とが正式な会合を持つなどし、山での遭難者対応を話し合っています。

 

~ 交通安全講習会 ~

ちょうどこの日は、老人会が開かれていました。上野原署員や警察本部員が小菅村を訪れ、交通安全講習会が行われました。「ぜひご覧になってください」と勧められ、下山巡査部長に同行しました。

会場では、役場の方、老人会の役員の方、温泉施設の方が次々と下山巡査部長と笑顔であいさつを交わしていました。下山巡査部長が小菅村で構築してきた村民の方々との信頼関係の強さを垣間見たような気がしました。


【夢は警察官】

――下山巡査部長が警察官を志した動機は?

小さな頃から警察官になるのがぼんやりとした夢でした。それが現実的な夢になったのは、ちょうど高校生の頃(16歳)、自転車の遠乗りが趣味で、静岡~長野~名古屋という一人旅を計画しました。ところが、諏訪湖から名古屋方面へと向かう途中、はじめに立てた計画より行程が遅れてしまい、当日宿泊する予定の宿に間に合わない状況になりました。すでに陽は落ち、辺りは真っ暗――。そんなとき、明かりの点いた駐在所を見つけ飛び込んだのです。事情を話したところ、その駐在さんは親身に私の話を聞いてくれただけでなく、知り合いの宿を紹介してくれ、「一人じゃ危険」と宿まで送ってくれました。「駐在さんになろう」と、そのとき強く思いました。

生活のため、東京都内で大工をしていましたが、やはり夢を捨てることはできず、警察官へと転職しました。


~ 取っておきの場所 ~

下山巡査部長に案内され、温泉施設内にあるフィールドアスレチック広場にやってきました。

 

 

 

 

                                【写真は手作りのボルダリング施設】

 

――立派なフィールドアスレチック施設ですね。

あそこにある滑車ロープ(ジップライン)は、小菅村に進言して作ってもらったものです。子どもたちが自然に親しみながら遊び、体のバランス感覚を磨いてもらうことが目的です。

――長さ、高さはどれくらいあるのですか?

長さは100mくらいですね。最も高いところは地上から約18mといったところでしょしょうか。また、ボルダリング施設は、大工の経験を活かし休日を利用して作ったものです。

――ボルダリング?

フリークライミングの一種で最低限の道具(シューズとチョーク)で岩や石を登るスポーツのことですが、これはこの村や観光で訪れた子どもたちが雨が降っても遊べるようにと作りました。私の趣味を形にしたようなものですね。

 

――最後の質問です。下山巡査部長の警察官としての目標を、差し支えなければ教えてください。

私は山岳救助の技能に関しては、山梨県警でトップクラスだと自負しています。県警の山岳救助のレベルを上げることや、私に続く後輩らに、山岳救助の技術を指導できれば――と考えています。

駐在としては、住民の方々にこれまで以上の信頼を得たいと思います。それが、警察全体の信頼アップにつながればいいなあ――と心から思っています。


昨日降った雪が陽光に照らされ、水蒸気になって立ち上っていました。金属音が聴こえ空を見上げると、一面のスカイブルーに白い2本のラインを引きながら飛行機が泳いでいるように見えました。 下山巡査部長のような「縁の下の力持ち」が、私たちの地域の安全・安心を創造しているんだと思いながら、私たちは小菅村を後にしました。

 

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